今まで、新人または新人+αクラスの方が一般職クラスになるための一般職試験(B級職試験)、一般職の方が主任・係長職クラスなるための主任・係長職試験(A級職試験)についてお話してきました。
最後に、管理職試験の概要についてお話しておきたいと思います。私が勤務していたメーカでは、試験によって昇格・昇進するのは管理職試験までで、そのあとは、能力と実績で上がっていきますので昇格試験については管理職試験までの話になります。
管理職試験は、学科試験、1次試験、2次試験と3つの試験があります。それでは、各試験の概要についてお話します。
初めての転職は転職ナビ学科試験
学科試験は、経営幹部(管理職)になるための必要な知識の有無を判断する目的で実施されます。試験科目は、経営戦略、ITマネージメント、アカウンティング、人材マネージメントの4教科になります。あなたを含めて、管理職を目指す主任クラス方は、普段の業務の中で、上記の学科試験に関する知識を身に着ける機会は少ないでしょう。
なので、あなたの上司が推薦書を記載したタイミングで、ある大学の通信教育課程に申し込みの手続きがなされます。そして、この学科試験に関するテキストが送られてきます。各教科で150ページぐらい、合計600ページの勉強をする必要があります。
私の場合、社内MBA研修の受験経験があったので、経営戦略やアカウンティングなどは経験がありましたが、2~3か月で600ページの教科書を理解するのは少し大変でした。
この試験は、平均点で60点以上(400点満点で240点以上)で合格になります。大体、40~50%程度の合格率になります。
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学科試験に合格するすと、数か月後(2~3か月後)に1次試験を受験することになります。1次試験は、先に一般職(B級職)昇格試験、主任・係長職(A級職)昇格試験で述べてきました、成果論文の面談試験(プレゼンテーション試験)になります。
成果論文も管理職の職位基準書に照らし合わせて、十分に管理職としての仕事をしていることをアピールするように記載する必要があります。また、ページ数も5枚程度執筆する必要があり、一般職(B級職)、主任・係長職(A級職)の成果論文よりも記載する量も、質も高いものが求められます。
私が勤務していた会社は、数兆円規模、数万人の企業でした。また、この会社は複数の事業体を持つ会社で社内カンパニー体制でした。私は研究開発部門に在籍しておりましたので、研究開発部門が1つのカンパニーでありました。
先の述べました一般職(B級職)昇格試験、主任・係長職(A級職)昇格試験と、幹部社員試験の1次試験は、このカンパニー内の人事部門による選考になります。そのため、試験官、および同じタイミングで受験する受験者は、同じカンパニーのメンバーになります。
どちらかというと、1次試験は同じカンパニー内の試験であるため、カンパニー内で戦略的に上げたい人材等は優先的に合格させる傾向があり、若干合格率が、後述する2次試験に比べてよかったと思います。
1次試験の合格者はおおよそ50%から60%程度であったと思います。
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1次試験に合格すると、1~2か月後に2次試験を受験することになります。2次試験は、1次試験と同様に成果論文の面談と、新たに課題論文によるグループディスカッションを行います。
1次試験がカンパニー内の試験であったのに対して、2次試験はグループ会社内の試験になります。そのため、試験官は別のカンパニーの方が担当され、受験者も別のカンパニー出身の方と一緒に受験することになります。また、技術系・事務系混載での受験になります。
そのため、他の事業分野の方へ説明する必要性、事務系の方は技術系の方へ、技術系の方は事務系の方へ理解できるように説明できなければなりません。
専門的に世界レベルの研究開発を担っていても他の事業分野で、事務系の方への説明、事務系が試験官であった場合には、試験に参加される方すべてが理解できるように、プレゼンテーションや面談に対応する必要があります。
2次試験の合格率は、おおよそ30~50%程度になります。
【キャリアカーバー】不合格の場合
管理職になるには、これら3つの試験をクリアする必要があります。学科試験は3年程度持越しができるので1度合格すると、3回の受験は有効です。1次試験、もしくは2次試験で不合格にになっても、3年間は学科試験を受ける必要はありません。
しかし、1次試験が合格しても、2次試験で不合格になった場合には、翌年改めて、1次試験から試験を受験しなおす必要があります。ここで心が折れる人が多くいます。ただ、管理職になるにはここで心が折れては困るのです。
最終合格率
学科試験が50%、1次試験が50%、2次試験が40%であると、最終的な合格率は10%になります。大手上場企業の管理職になるのは非常に難しいですね。
いかがでしたでしょうか?
では、次の記事で、1次試験の成果論文の執筆の準備についてお話したいと思います。