マネージャさん。今度、大学との共同研究の責任者になりました。
そうですか。
はい。そこで、共同研究先の先生から社会人の博士課程の入学を進められました。
博士課程の3年間ありますが、どのようなスケジュールになりますか?
そうですね。
この記事では、社会人の方が、社会人博士課程に入学したあとの、3年間の過ごし方について、私の経験からお話したいと思います。
1年目
論文ネタになりそうな技術を予め権利化しておく
あなたは、社会人大学生として入学しています。そのため、会社の研究テーマを進めながら、それをどのように査読付き論文にまとめて、学位論文として仕上げるのか、とうことが課題となります。
会社から査読付き論文を出す場合には、その技術に関する特許を予め権利化しておく必要があります。まだ研究が進んでいない状況かもしれませんが、研究成果として実績がないものについても、アイデアの範囲で権利化しておくことをお勧めします。おおよそ、1年間で20件ほどのアイデアを権利化しておくといいでしょう。
なお、特許の書き方については、次の記事でお話しておりますので、よろしければどうぞ。
単位を取得しておく
私の場合、都内の国立大学であったのですが、 博士後期課程で必修科目8単位、選択科目4単位以上、合計12単位以上を修得しなければなりませんでした。
特に、社会人から大学院に行く場合、授業に参加して試験やレポート提出というものはありませんでした。単位をいただきたい先生のところに挨拶に行って(お菓子をもって)、どうしましょうかね、とう感じでした。
先生からは、会社の研究の内容を含めて、大学院の修士課程の学生向けに3回ほど授業してほしいということでした(先生の手抜き?)。
私も、会社案内(採用活動の一環)も含めて、授業をさせていただきました。と言っても、会社の研究成果をまとめもので、特に改めて資料を作ってとうことはしませんでした。
このような感じで単位をいただきましたのちからお話します2年目、3年目はもっと忙しくなるので、1年目に取得可能な単位は取得することをお勧めします。
2年目(論文執筆、国際会議参加)
一般的に、博士課程の3年間で3本の査読論文のジャーナル掲載が必要です。また、そのうち1本は英語のジャーナルであることが求められます。
ただ、必要な査読論文の数は大学が規定しているため、私の知る限り、東京大学の1部や、ある私学では、1本のところもあります。
私の場合、修士課程の時に、1本だけ査読論文をファーストオーサーで執筆していたため、2本の論文を執筆する必要がありました。
社会人として、大学院博士課程に入る場合、少なくとも1本は査読付き論文を予め執筆してから入学すると楽だと思います。
一般に、査読付き論文を投稿して、掲載されるまでにはおおよそ半年から1年ぐらいはかかることがあります。
特に、英語で論文を書く場合には、査読者の意図を読み取り、それを理解して、返信をするまでに非常に苦労した経験があります。指導教授にもいろいろ指導受けながら進めますが、やはり、査読者とのやり取りで時間を要しますね。また、国際会議に行った時のネタをベースに査読付き論文を執筆するのがいいでしょう。
少なくとも、2年目が終わるまでに、すべて(3本分)の論文は書き上げて、査読者からのチェックが進んでいる状態にしておく必要があると思います。
3年目(学位論文執筆、査読論文の査読者フォロー)
最後の年は、学位論文をまとめるのが一番大変なところですね。修士論文に比べて3倍程度(200ページぐらい)にまとめる必要がありますね。学位論文はページ数だけではないですが、やはりそれなりのページにしておく必要がありますね。
同時に、査読論文のコメントに対して回答をしてアクセプトしてもらうように、査読者とのやり取りを続けていく必要があります。
私がお世話になった大学院の場合、査読論文が卒業までに掲載される必要はありませんが、アクセプト(論文が査読者から認めれて、数課か月後以内には掲載される見込みである状態)の状態にしておかなければ、修了時(3年後)学位をいただくことはできませんでした。
最後に、学位審査でプレゼンをパスすれば、卒業時に博士号をいただけますね。
博士課程の3年間は結構短いものです。計画を立てて研究を進めるようにしましょうね。
特に会社からお金を出してもらって進学している場合、会社の評価にもつながります(納期が守れないやつってことになります)。
苦労して、社会人大学院まで行って評価が下げられるのは辛いですね。。。。