昇格試験の2つの弊害  (マネージャさんの個人的な見解)昇格試験:第30回

昇給試験
研究者
研究者

マネージャさん。前の記事で昇格試験を実施する意義について、① 上司の好き嫌いによる評価を防ぐ、②部門による人事評価の偏りを防ぐ、③昇格する人数を管理する、ということをお伺いしました。

マネージャ
マネージャ

そうですね。①社内での評価を公平にすること、②会社の原資の範囲の人数を昇格させる必要がありますよね。

研究者
研究者

はい。昇格試験っていいことばかりのように感じますが、会社にとって何か弊害はありませんか?

マネージャ
マネージャ

そうですね。確かに、昇格試験っていいことばかりではないですね。

この記事では、昇格試験の弊害について、私の個人的な見解についてお話したいと思います。



不合格者が多数出ると組織が成り立たない

昇格試験は、自部門の人財(人材)を自部門の判断で昇格させることができません。一方で、新入社員は、毎年入社してきます。また、管理職を含めたベテランの社員は、毎年、定年退職で退職していきますね。

現在、活躍中のあなたが昇格できないと、あなたと同じ職位の人財(人材)が増え、一方で、あなたよりも上級職の職位の人財(人材)が不在となってしまいます。そうなると、組織として成り立たず、そのような組織は組織変更のタイミングで取り潰されることになるでしょう。

当然、あなたの上司や、あなたの同僚、あなた自身も、別の部署に移ることになるでしょうね(日本の会社の場合、退職させられることはないでしょう)。



もし、あなたが別の部署に移って、今までの経験やスキルが活かすことができて、現在と同じ職位のパフォーマスが得られるのであれば、次に昇格試験を受ける資格も得られるでしょう。しかし、今までの経験やスキルが活かすことができず、現在の職位よりも低いパフォーマスしか発揮できないと、昇格試験を受ける機会はさらに遠のくことになりますね。

あなたは昇格試験に合格することは、あなたがより高度な業務に携われる機会、より高い報酬、より高い処遇が得られると同時に、あなたの職場のメンバーや上司等の仕事を守っていくことにもつながります。



合格者はすべて同じような顔になる

どこぞの会社の管理職の皆さんは、同じような顔をしていると言われることがあります。

これは昇格試験を通して、会社として求められる人財はどのようなものかとうことを、上司と一緒に数か月に亘って考え抜きます。その内容を、分かりやすく論文にまとめ、分かりやすいプレゼンテーションを行う練習を何度も繰り返します。これらのことは、 長年にわたって、培ってきた会社の伝統です。

このような昇格試験によって、 XXXマン、XXXウーマンを作っている感じですね。ここで、XXXは会社名であり、例えば、トヨタマン、日立ウーマンのような感じですかね。 これは職位が高い昇格試験のほど強い傾向があり、管理職は同じような顔をしていると言われるのだと思います。



私は、このように会社の中核を担う管理職が、同じような顔をしていてはダメではないかと思います。それはなぜか?

1990年代ごろまでの物を作れば売れる時代はよかったかと思います。むしろ同じような顔をしている方が、同じような考えのもとものづくりをするため(阿吽の呼吸)、品質の良い製品が作れたのではないかと思います。

しかし、現在は、ハードウエアは1個のLSIでなんでも処理ができるし、ソフトウエアはオブジェクト指向のプログラミングで簡単に高度なソフトウエアが作れるようになってきました。そうなると、誰でもいい品質の製品が作れるようになってきます。

そうなってくると、お客さんのニーズに沿った商品を、早期に提供できる(品質はそこそこ)ものが勝ってくることになります。

皆が同じ顔をしていると、アンテナの方向も一方向です。いろんな方向から飛び込んでくる情報もキャッチすることができませんね。

また、お客さんへ提供するアイデアも、同じ湧き水からでてくるようなものなので、アイデア検討などをしても似たようなアイデアしか得られないです。そのため、特徴のある製品ができないのでしょうね。

前述のとおり、ものづくりは今では誰でも簡単にできるので、負けてしまいますね。



いろいろな要素があるかもしれませんが、日本の競争力を落としている一つの要因として、昇格試験がるのかもしれませんね(少しお話が広くなりすぎました)。

マネージャ
マネージャ

いかがでしたでしょうか?昇格試験の弊害もあることが理解できたのではないかと思います。

でも、会社組織に在籍する以上、会社のルールに基づいた昇格試験で着実に昇格していかないと、組織が成り立たなくなることもあるので、ぜひ、今度の昇格試験は合格できるように頑張りましょう。

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